けい’s diary

以前米国に駐在し、現在中国在住の金融系サラリーマンの雑記帳です。

【新型肺炎】トヨタ、中国工場で生産再開。人材と物流を確保できた?

www3.nhk.or.jp

 

トヨタが、中国国内の完成車工場で生産を再開したとのことです。

生産体制は「半分程度」とありますが、それでも「半分」も回復できたのは、さすがトヨタと言わざるを得ません。日本、韓国、欧米各社の中でも先んじています。

 

今回の新型コロナ騒動により、中国の製造業各社が直面している大きな問題の一つが、「人の確保」、「物流の確保」です。

 

まず、人の確保の問題ですが、多くの自治体で、外出制限や自宅待機を義務付けられていたり、また春節休暇などにより、一旦居住地区から離れた場合、2週間の自宅待機が義務付けられていたりします。当然、企業側も強制的に出社させることは出来ません。そのため、工場を再操業したくても、マンパワーが足りず出来ない、という問題が発生しています。

 

もう一方は物流に確保です。人の流れとともに、物流もストップ、停滞しています。商品が製造できても売れないとどうしようありません。自動車の完成車の輸送方法としては、陸路、海路があるわけですが、まず海路については、港湾関係の仕事をしている方によると、港湾施設自体は開いているものの、上記と同じような理由で出社していない(出来ない)従業員も多く、各種手続きが滞っているようです。

一方、陸路についても、省や都市を跨ぐ輸送が制限されており、輸送方法にも制限が出ているようです。ある都市を出た後、2週間は、元の都市に戻ることができない等の規制が敷かれていることもあります。省、都市を跨ぐ輸送は不可欠ですので、これら規制は大きな支障になります。

地続きの国境を越える際に行われるような、リレー方式で対応するのではないかと思います。広東省はA物流、天津はB物流、北京はC物流といったようなイメージです。当然ながら物流コストは増大します。部品調達も同様です。

 

SNS上では「中国で、日系企業が利益優先と非難される」等の意見も目にしますが、個人的にはそれは当てはまらないように思います。というのも、国には出資規制の問題があり、トヨタをはじめ、外資系製造業が中国国内に進出する場合、50%の出資規制があります。つまり半分は中国(政府系メーカー)の血が流れているわけです(利益も同様で)。もちろん根底に「日本憎し」の感情があれば、(何をしても)批判される可能性はありますが、2012年はともかく、そんな土壌はないというのが個人的な認識です。

 

今後懸念されるのは業績への影響です。自動車を利用した方が感染リスクが低いと考える人の需要はあるかも知れませんが、インパクトはそれほど大きくないでしょう(中国の場合、可能性は0ではありませんが)。

これだけ外出制限、移動制限を徹底していれば、1から3月までは、自動車産業のみならず、多くの産業で業績が悪化することが避けられないでしょう。既に零細企業では耐えられない企業も出てきているという報道もあります。

一方中国は、欧米と比較して、解雇規制が厳しい国です。企業が従業員を解雇するのは容易ではありません。会社の体力がなくならない限り、会社員には給与は払い続けられるはずです。また中国政府はいざとなるとガンガンお金を刷るでしょう。そんな中国ならではのファクターもあります。

このお金が、自動車等の高額な商品にも届くのか、それとも景気の停滞感とともに買い控えの雰囲気が出るのか、引き続き、眺めていきたいと思います。

 

キリがなくなってきたので今日はここまで。再見!

 

にほんブログ村 ニュースブログへ
にほんブログ村